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アインシュタインの相対性理論 その5

アインシュタイン相対性理論について、その核心部分を紹介させていただきます。

今回は、一般相対論により明確になった現実世界の時空構造について述べます。

8回に分けて連載させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 

相対性理論のもっとも美しいところ

5 時空構造の特性

 この特徴を示す端的な例として、一定速度で回転している円盤があります。その直径と円周を同じ物指を用いて測ると、円周率はπより大きくなります。なぜなら、直径方向に置かれた物指はローレンツ収縮を受けないのに、円周方向に置かれた物指はローレンツ収縮を受けるからです。そして、半径が大きい位置ほど円周方向に置かれた物指へのローレンツ収縮の効果が大きいので、円周率もそれに伴い大きくなります。つまり、回転円盤では、半径方向に空間の構造が変化しています【解説2】。また、時間の進み方も同様に、半径が大きい位置ほどローレンツ収縮の影響が大きく、それに伴い時間の進み方が遅くなります。つまり、半径方向に時間の構造も変化しています【解説3】。一定速度で回転する円盤は、中心方向に加速度が存在する系ですので、「加速系においては時空が変化する」ことを示す典型例です。

 一般相対性理論で扱う時空のもう一つの特徴は、この空間でベクトルを平行移動させた時、ユークリッド空間と異なり、移動の始めと終わりでベクトルの方向が変化することです。しかも、始点と終点が同じでも経路が異なれば、ベクトルの方向も異なってしまいます。このような時空は、曲線座標で表される曲った時空です。曲った時空とは、四次元時空における距離に相当し、世界間隔と呼ばれる量を表す式において、座標変数で構成される各項の係数が、定数ではなく座標変数の関数になるような時空です。そこでは曲率が時空構造の変化を支配しています。

 これを確かめるために球面座標を例にとります。北半球の1/4の外周を大円に沿って一周したとき、始めと終りでベクトルの向きが90度ずれます。次に、赤道面に対して対称になるように、南半球の1/4の外周を大円に沿って一周しますと、終わりのベクトルの向きは、前とは逆方向に90度ずれます。この現象は、ベクトルが移動経路によって作られる面内にある場合、平行移動ではベクトルの向きを移動経路の接線方向に一致させるという規則によって生じます。これは、リーマン空間における平行移動として幾何学的に定義さたものです【解説4】。一般相対性理論における時空の特徴として次の二つを上げました。

         ① ひとつの座標系において時間と空間が変化する。

         ② 平行移動でベクトルの方向が変化する。

 アインシュタインは、重力場もここに示された特徴を持つリーマン空間であると考えたのです。それによって、一般相対性理論を数学的に厳密な理論に体系化することができました。そして、無限に存在する一般的なリーマン空間の中から、現実的に存在しうる一つの時空を求めるために編み出されたのが、「重力場方程式」です。この方程式を解くことは、世界間隔(不変距離や線素とも呼ばれる)を表す式の係数、すなわち時空構造を求めることに相当します。

<つづく>

この記事は次のURLからもご覧いただけます。特に、【解説1】~【解説8】の図解はそちらでご確認ください。

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