onestonetwobirds’s diary

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アインシュタインの相対性理論 その7

アインシュタイン相対性理論について、その核心部分を紹介させていただきます。

今回は、重力場で光が曲がる理由を示します

連載も残り2回となりました。よろしくお願いいたします。

 

相対性理論のもっとも美しいところ

7 重力場で光は曲がる

 一般相対性理論の帰結として、「重力場で光は曲がる」という現象が予言されます。実は、この現象は、相対性理論を考慮せずとも次の思考実験から示されます。地上から高いところに吊るされたエレベータのひもを切断します。それと同時に光がエレベータの中に真横から入射します。そのあと、自由落下するエレベータの中を伝播する光を地上から観測しますと、その軌跡は放物線となります。なぜなら、エレベータ内の局所的慣性系で光が水平方向に等速直線運動をするのと、エレベータが重力の加速度で落下することに伴う鉛直方向の等加速度運動が合成された様子が観測されるからです【解説7】。この現象は、重力の加速度が光の速度を変化させることを意味していますので、重力場で光は直進しないことになります。したがって、特殊相対性理論の基礎となった光速度不変の原理は、重力場では成り立たないことになります。これが、一般相対性理論が生まれることになった理由の一つです。

 光が重力場で曲がる現象は、一般相対性理論を用いると次のように説明されます。まず、重力場において重力以外の力を受けない粒子を自由粒子といいますが、光は質量ゼロの粒子ですので、ニュートン理論における重力を受けることはありません。しかし、他の力も何も受けませんので、重力場において自由粒子として振る舞います。次に、重力場における自由粒子の運動は、その場のなすがままの運動となります。それは、その場において、最も安定な動き、消費エネルギーが最小となるような動き、すなわち、最小作用の原理から導かれる「2点間の最短距離をとるような運動」です。

 一方、2点間の最短距離を与える経路は、リーマン幾何学では測地線と呼ばれる曲線です。この曲線は、あるリーマン空間においてその空間構造を保ったまま2点間の距離が最短となる条件を満たす曲線であり、 測地線方程式の解として一つに限られるものです。

 ところで、先に示した通り、重力場リーマン空間です。したがって、重力場における2点間の最短ルートは、リーマン空間における2点間の最短ルートであって、それは測地線と呼ばれる曲線となります。簡単に言うと、光は重力場の時空構造で決まる一つの曲線に沿って運動します。その結果として、軌跡が曲がるのです【解説8】。

 この予言は、相対性理論が完成した3年後の1919年に、エディントンらによって行われた日食の観測で、太陽の重力場を経由して地球に到達する恒星からの光が、日食の起きていない時より外側に1.75秒角ずれることを確かめることによって実証されました。これで相対性理論は、その正当性が客観的に示され、世の中に広まることになりました。

<つづく>

この記事は次のURLからもご覧いただけます。特に、【解説1】~【解説8】の図解はそちらでご確認ください。

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