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アインシュタインの相対性理論 その3

アインシュタイン相対性理論について、その核心部分を紹介させていただきます。

今回は、特殊相対論誕生の起点となった実験と、一般相対論が必要となった理由を示します。

8回に分けて連載させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 

相対性理論のもっとも美しいところ

3 相対論の起源

 相対性理論が成立するための起点となったのは、1887年にマイケルソンとモーリーが行った実験です。当時は、宇宙のどこかに絶対的に静止している場所があり、物理法則に現れる光の速度は、その絶対静止系に対するものと考えられていました。そこで二人は、絶対静止系に対する地球の速度を測定しようと試みました。その結果、地球の進行方向に対して同じ方向と直角方向の光の伝播速度が等しいことになりました。これは、両方向の速度がゼロであることを示しています。つまり、地球は絶対静止系に対して静止しているという天動説に逆戻りしてしまいました。この不合理は、光の速度と地球の速度の合成が、それらのベクトル和であるという考えを採用したことが原因です。相対性理論が生まれる前は、この考え方が常識でありましたので、上の実験結果は素直に受け入れられませんでした。

 しかし、それとは反対に、アインシュタインは、この実験結果を自然が教えてくれた真実であると考え、「光の速度は、あらゆる慣性系において同じ値をとる」という立場をとりました。この考えは「光速度不変の原理」と呼ばれ、特殊相対性理論の基礎原理となっています。そして、もう一つの原理「あらゆる慣性系において、物理法則は等しくなるべきである」という特殊相対性原理と併せた二つの原理に基づき、時空に対する認識を修正し、それに矛盾しないように物理学の体系を再構築したのが特殊相対性理論です。ただし、その適用範囲は慣性系に限定されています。特殊相対性理論の特徴的なこととして、光の速度を超える速度は存在しないことや、時間と空間にローレンツ収縮という奇妙な現象が起きることがわかっています。これらの現象は、光速度不変の原理に起因するものです。

 特殊相対性理論の適用範囲が慣性系に限られ、加速系に適用できないという点は、理論の不完全性と思われます。そもそも、自然現象は座標系という人為的な選択に影響されないはずです。しかも、自然界に必ず存在する重力の影響下では、慣性系と加速系は区別できません。なぜなら、重力場に置かれた慣性系と無重力場に置かれた加速系で、必ず同じ現象が観測されるからです。

 特殊相対性理論のもう一つの問題は、電磁場についてはマックスウェルの理論と矛盾なく成り立っているものの、重力場についてはこれを扱うことができない点です。特殊相対性理論が抱えるこれらの問題を解決するために、アインシュタインは、一般相対性原理「加速系を含むあらゆる座標系で自然法則は等しくなるべきである」と、等価原理重力場と加速系は等価である」を根拠に、数学的手法として、リーマン幾何学を用いることによって、時空や重力に関する新しい理論体系を構築しました。これが一般相対性理論です。

<つづく>

この記事は次のURLからもご覧いただけます。特に、【解説1】~【解説8】の図解はそちらでご確認ください。

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